目次(クリックすると各項へジャンプします)
01 ブラシ法とは
02 ブラシ法のメリットデメリット
03 ブラシ法の手順
04 MycoLaboのブラシ法による皮膚糸状菌培養検査
01 ブラシ法とは
日本では、動物の皮膚糸状菌症の培養検査というと、患部の毛を抜いてダーマキットで培養する抜毛法が一般的です。
一方、世界的にはブラシ法(マッケンジー法、Mackenzie’s brush technique)が広く用いられています。
この方法では、新品の歯ブラシで病変部または動物の全身をブラッシングし、そのブラシを培地に接種して培養します。
World Association for Veterinary Dermatology(WAVD、世界獣医皮膚科学会)、ADVISORY BOARD ON CAT DISEASES(ABCD、猫の病気に関する諮問委員会)およびEuropean Scientific Counsel for Companion Animal Parasites(ESCCAP、欧州伴侶動物の寄生虫に関する科学的協議会)の各ガイドラインにも、皮膚糸状菌症の培養のためのサンプリング法として、ブラシ法が推奨されています。
しかし日本ではこれまで、ブラシ法に適した培地が入手困難であったため、実施が難しい状況でした。
02 ブラシ法のメリットデメリット
このように広く用いられるブラシ法ですが、メリットだけでなくデメリットもあります。状況に応じて、抜毛法とブラシ法を使い分けると良いでしょう。
【ブラシ法のメリット】
・病変が不明瞭なときは抜毛法より高い感度で検出できる
・どの毛を抜くか?という採材者によるバイアスがなく、誰が行っても比較的安定した結果が得られやすい
・手技を固定すれば定量化もでき、治療の効果判定や感染源としてのリスク評価に役立つ
【ブラシ法のデメリット】
・サンプリングに時間がかかる
・単に毛に付着している菌も検出するので、感染と腐生の鑑別が必要
・コンタミが多くなるため判定が煩雑になる
03 ブラシ法の手順
ガイドラインによってブラッシングする回数や時間に少しずつ違いがありますが、以下のような方法が多く用いられています。
① 採材前48時間はシャンプーと外用を控える
② 未開封の新品の歯ブラシを使用して、動物をブラッシングする。
-1 病変部が明らかな場合は病変部のみをブラッシングする(他の被毛に感染を広げないため)。
-2 病変部が不明瞭な場合は、全身を20~30回または2~3分、またはブラシが毛でいっぱいになるまでブラッシングする。回数や時間は動物のサイズに応じて調整する。
次回以降と比較する場合は、ブラッシングの方法をカルテに記載し、次回も同じ手順で行えるようにする。
③ 真菌培地に歯ブラシの先を軽く押し当てて接種する。検査機関に送る場合は、新品のチャック付き袋に入れ、常温で送付する。
1分10秒からブラシ法の実技があります
04 MycoLaboのブラシ法による皮膚糸状菌培養検査
MycoLaboでは、独自に開発した専用培地を用い、世界標準のブラシ法による真菌検査を行うことができます(皮膚糸状菌のブラシ法による培養検査、6,300円)。
サンプリングした歯ブラシを常温でお送りいただきます。MycoLabo到着後、専用培地に接種して培養を行い、発育したコロニーを鏡検して皮膚糸状菌の同定を行います。
結果報告では、陽性・陰性の判定だけでなく、コロニー数もお伝えします。
これにより、単に陽性・陰性だけではなく、治療効果の評価や感染源としてのリスク判定にもお役立ていただけます。
【以下のようなケースで特におすすめです】
・ウッド灯が無いのでどの毛を抜くべきか判断が難しい
・病変が不明瞭で典型的ではないが、皮膚糸状菌症を除外したい
・抜毛法で陰性だったため治療を終了したが、再発した
・易感染性の家族がいるため、猫がキャリア状態かどうかを確認したい
・ダーマキットの判定に自信がない
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