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Note 02-1

分類学上の分類

生物は歴史的に見た目や性質などで分類されてきましたが、遺伝子の解析により同種だと思っていたものが全く違うものだったり、その逆もあることが明らかになってきました。真菌も例外ではなく、遺伝子の情報に基づいて再分類や名前の変更が行われている最中です。

真菌は有性生殖の特徴をもとに分類され、かつては子嚢菌門、担子菌門、接合菌門、不完全菌門、ツボカビ門に分かれていましたが、遺伝子による再分類の結果、接合菌門と不完全菌門は無くなり、原虫に分類されていたエンセファリトゾーンはミクロスポリディア門として真菌の仲間入りをするなど大きな変化がありました。

臨床的には、子嚢菌門、担子菌門、ムーコル(ケカビ)門、ミクロスポリディア(微胞子虫)門、ツボカビ門の5つが重要になります。

Note 02-2

形態による分類

真菌には単細胞の酵母、多細胞の糸状菌、環境によって酵母と糸状菌のどちらの形態もとる二形性真菌の3つの形態があります。

種類としては糸状菌が最も多く、既知の真菌約7万種の99%を糸状菌が占めると言われています。酵母は800種ほどが知られています。二形性真菌は数は少ないものの、病原性が高いものが多く臨床上重要視されています。

酵母
酵母

酵母
Malassezia pachydermatis

酵母は典型的には表面に光沢があり、水分を含んでやわらかいコロニーを形成します。

Cryptococcus spp. Malassezia spp. Trichosporon spp.

糸状菌
糸状菌

糸状菌
Microsporum canis

糸状菌は表面が乾燥し、発育した菌糸が毛羽立って見えます。菌糸が発育して分生子を生成するにしたがって、コロニーの表面が粉を吹いたようになり、色が変化することが多いです。

Aspergillus spp. Trichophyton spp. Microsporum spp. Mucor spp. Rhyzopus spp.

二形性真菌
二形性真菌

二形性真菌
Candida albicans

酵母の形態のコロニーから、糸状菌発育で広がっていく様子が見られます(シャーレ下)。 このように温度や栄養状態によって発育形態を変えることができる能力が、病原性の強さと関係していると考えられています。

Candida spp. Coccidioies immitis, Histoplasma spp. Blastomyces dermatitidis, Talaromyces marneffei

Note 02-3

病変部位による分類

臨床的には病原部位による分類も行われ、表在性真菌症、深部皮膚真菌症、深在性(内臓)真菌症に大別されます。

この表は横にスクロールできます。

病変部位 定義 代表的な疾患
表在性真菌症 病変が皮膚の表層(表皮とくに角質)、爪、毛髪、または皮膚に隣り合う粘膜(口腔や膣)の表面にとどまるもの。   皮膚糸状菌症、皮膚マラセチア症、皮膚および粘膜のカンジダ症
深部皮膚真菌症 土壌中や植物表面に生息する特定の真菌が、皮膚の穿刺、創傷によって偶発的に体内に侵入することによって引き起こされるもの。人医療では農業従事者や木材業者、ガーデニング趣味の人などでの発症が多いことが知られる。   スポロトリコーシス、黒色真菌症
深在性(内臓) 真菌症 体内のひとつ~複数の臓器や播種性に真菌が感染するもの。 カンジダ症 消化管カンジダ症、肺カンジダ症、尿路カンジダ症、カンジダ心内膜炎、カンジダ血症、カンジダ眼内炎
アスペルギルス症 慢性肺アスペルギルス症、侵襲性肺アスペルギルス症、気管・気管支アスペルギルス症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アスペルギルス性耳感染症
クリプトコックス症 肺クリプトコックス症、クリプトコックス髄膜炎、皮膚クリプトコックス症
ムーコル症 肺ムーコル症、鼻脳ムーコル症
トリコスポロン症 播種性トリコスポロン症、夏型過敏性肺炎
ニューモシスチス症 ニューモシスチス肺炎

この表は横にスクロールできます。

Note 02-4

病原性による分類

日和見性

高齢や免疫抑制をともなう医療などによって免疫不全状態になった宿主に感染を起こすもの。ほとんどの病原性真菌はこのタイプで、健康な宿主には病原性を持ちません。

高病原性

健常者に感染症を起こすもの。国内ではクリプトコックス症が見られます。海外ではコクシジオイデス症、ヒストプラズマ症、ブラストミセス症、マルネッフェイ型タラロミセスなど病原性の強い風土病的な真菌症があり、輸入真菌症と呼ばれています。日本でも海外渡航歴や居住歴のある人の輸入真菌症の発症が散見されます。
真菌の中で最も病原性が高いコクシジオイデス症は、感染症法で狂犬病や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)と同じ四類感染症に指定されています。

コクシジオイデス症の犬
コクシジオイデス症の犬。全身性の衰弱と、骨病変による歩行異常を呈しています。アメリカの西南部などの砂漠地帯の土壌に含まれる胞子を吸い込むことにより発症します。日本の動物での報告はありませんが、人では海外からの渡航者の発症が報告されています。
米国CDC Public Health Image Liblaryより引用
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