文光堂から出版されている「非腫瘍性疾患病理アトラス」シリーズより、感染症をテーマとした新刊が刊行されました。
本書の中で、弊社代表・大村が「Candida auris(カンジダ・アウリス)による感染症」の項を担当しています。
Candida auris は、獣医療の現場ではまだほとんど報告がありませんが、人の医療ではすでに世界的に問題となっている真菌です。特に医療施設内での院内感染やアウトブレイクが起こりやすく、各国で警戒が続いています。
現在、C. auris はクレード(系統)Ⅰ〜Ⅵに分類されており、クレードによって病原性が異なることが分かっています。
最初に発見された日本の株はクレードⅡで、主な症状は外耳道炎など比較的軽症です。一方、海外で流行している株では血流感染などの侵襲性感染症が多く、免疫抑制状態の患者では致死率が30〜60%に達するという報告もあります。
こうした背景から、World Health Organization(WHO)は C. auris を「最優先で研究すべき真菌症のひとつ」に位置づけています。
健康な人や動物では、基本的に発症することは少ないと考えられています。しかし、“保菌者”として知らないうちに菌を運び、免疫の低下した患者さんへ感染を広げてしまう可能性があります。
実際、最近では海外で犬や猫から C. auris が検出されたという報告も続いています。現時点で日本の獣医療に大きな影響が出ているわけではありませんが、今後を見据えて、私たち獣医療関係者も注視していく必要がある真菌だと考えています。