当院は鳥類、げっ歯類およびウサギを対象とした動物病院で、主に鳥を診察しています。
鳥は他の動物に比べて“カビやすい”のではないかと思います。消化管真菌症であるマクロラブダス症やカンジダ症、鼻炎、副鼻腔炎、肺炎を起こすアスペルギルス症など、日々の診療で多くの真菌感染症に遭遇するのにも関わらず、診断も治療も難しいと感じています。
真菌感染を疑う症例に遭遇した場合、病変部から検体の採材を試みます(採材方法の注意点に関しては、MycoLaboさんのHPを参考にしています)。鳥の場合は検体が少量しか取れず、それら検体の一部を院内で鏡検してみますが、微量すぎてわかりづらく、また、真菌以外の菌糸状微生物と判別できないこともあります。
MycoLaboさんでは、培養同定や遺伝子同定で真菌の種類を同定できるので、今までよりも原因菌がはっきりとわかるようになりました。
診察中に鳥の鼻孔から採材した検体を鏡検した写真。ぐちゃぐちゃでわかりにくく、隔壁が不鮮明で真菌かどうか悩んだ症例。
同症例の培養同定をMycolaboさんに依頼し、送ってもらった顕微鏡写真。とても鮮明で、きれいな写真。飼い主さんにもわかりやすく説明できる。
一般的に真菌感染症は治療期間が長くなるといわれています。他の研究機関では真菌の培養同定は行うところはあっても、薬剤感受性試験まで行うところは殆どありません。今までは原因菌が真菌だとわかっても、治療薬の選択に困ることが多くありました。MycoLaboさんでは、真菌の薬剤感受性試験を行っているため、経験的に使用していた抗真菌剤の使用を科学的、効果的に使用することができるようになりました。
薬剤感受性試験の結果は、ある程度日数が必要になるため、結果が出るまでは参考書に記載されているような一般的な薬剤を選択し、結果が出てからは、その結果に沿った治療薬に変えることにより、治療期間の短縮が期待できるようになりました。
また、当院ではげっ歯類も診療しており、げっ歯類の皮膚炎を引き起こす皮膚糸状菌の同定もMycoLaboさんにお願いしています。