
日々の診療で病変材料中に真菌を確認した時、ある程度診断がついて良かったと思う反面薬剤選択が頭の痛い問題でした。
進行した真菌症は投薬効果の判定が難しいこと、菌種によって生来的な薬剤耐性があること、二次的に発症している症例が多く、とりわけ衰弱した個体や長期使用では副作用が問題になることが理由です。
しかしMycolaboで真菌の菌種同定と薬剤感受性試験を利用できるようになり、長期にわたりがちな治療の見通しを立てやすくなりました。特に薬剤感受性検査では思わぬ多剤耐性が判明したり、逆に高価な薬Aより一般的な薬Bが有効だったこともありました。
報告書が分かりやすいのも大きな特徴です。
薬剤感受性試験の結果表だけでなく、培養された真菌のコロニー及び強拡大の綺麗な画像が添付されており、カビという漠然としたイメージしか湧かなかったご家族様にも病気の原因となっている真菌の形態や薬の効果をご理解頂きやすいです。その結果、治療にも納得して粘り強く取り組んで頂いています。
検査依頼方法は簡便でホームページのフォームに従い入力するだけです。症例の画像やその他の検査結果ファイルも添付でき、精度の高い検査につながると思います。発育が遅い真菌もあるため中間報告をメールで送って頂けるのも安心な点です。
安価な検査ではないかもしれませんが、有効な薬剤を選択し得ることから治癒・寛解までの時間が短くなり、動物とご家族様の負担を軽くしてくれる検査だと感じています。
菜の花動物病院 獣医師 今西奈穂子