検査案内
MycoLaboの真菌検査の総合案内はこちら。
検査の詳細をみる培養された真菌について、8種類の抗真菌薬に対する感受性を微量液体希釈法により測定します。
8種の抗真菌剤に対する感受性を測定。
送付された検体を培養し、微量液体希釈法により薬剤感受性を測定し、MIC値(Minimum Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)を報告します。
培養された真菌の薬剤感受性を調べます。
CLSI(Clinical Laboratory Standars Institute)の定める微量液体希釈法※に準拠し、以下の8種類の抗真菌薬の感受性を測定します。
菌種によっては、一部改変して検査を行います。詳しくは「薬剤感受性試験の課題について」をご覧ください。
また、マラセチアや皮膚糸状菌などの皮膚に感染する真菌については、上記のセットの中で有効な薬剤がイトラコナゾールとミコナゾールしかないため、その点をご理解いただきご利用ください。
※酵母はCLSIのM27-4th、糸状菌はM38-3rdに準拠
動物の真菌症では耐性と感受性を判定するブレイクポイントが設定されていないため、結果はMIC(Minimum Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)で報告します。
薬剤感受性単体でご依頼いただいた場合、菌種については酵母または糸状菌と報告します。
MICの数値だけでなく、検査した抗真菌薬の濃度の中でMICがどこに位置するのか、視覚的にわかるような形で報告しています。
A~Hは抗真菌薬の種類を、1~11はその濃度を示します。真菌の発育が見られなくなる(低下する)最小の濃度のセルを緑色で示しており、この値を最小発育濃度(MIC)として報告します。
MCFG:ミカファンギン、CPFG:カスポファンギン、AMPH-B:アムホテリシンB、5-FU:フルシトシン、 FLCZ:フルコナゾール、ITCZ:イトラコナゾール、VRCZ:ボリコナゾール、MCZ:ミコナゾール
単位(μg/mL)
セキセイインコの口腔から検出されたCandida albicansの薬剤感受性。どの抗真菌薬にも比較的良好な感受性を示している
単位(μg/mL)
サザナミインコの角結膜より培養されたFusarium solaniの薬剤感受性。アムホテリシンB以外の抗真菌薬に対する感受性が認められない。Fusarium属は多くの抗真菌薬に自然耐性を持つことで知られている。
カンジダやクリプトコックス、アスペルギルスなどの主要な医真菌は、CLSIの定める微量液体希釈法(ここでは標準法と呼びます)で比較的安定して測定できますが、動物から検出される真菌は標準法では測定できないものがあります。
例えばマラセチアは標準法の培地では発育しないため、特別に調整した培地を使います。一部の糸状菌は標準法で使用する分生子を形成せず、菌糸で代用することもあります。発育の遅い菌は判定までの時間を長くとったり、菌種によって培養温度を調整することもあります。
MICのエンドポイント(どこをMICとするかの基準)も、100%発育阻止がスタンダードな細菌に対し、真菌は100%発育阻止、80%発育阻止、50%発育阻止と菌種や薬剤によって異なります。まだ研究レベルで測定方法が標準化されていない菌種も少なくありません。また、動物ではMICと臨床の相関について調べられていないためブレークポイントが設定されておらず、耐性や感性の判定ができません。
上記のような多くの問題点があるため、獣医師が商業的に利用できる薬剤感受性試験はカンジダ、クリプトコックスに限定されていました。しかしこれらの菌種以外が起因菌となることも多々あります。いまだ課題の多い真菌の薬剤感受性試験ですが、情報の乏しい動物の真菌症と戦う上で役立つ情報をひとつでも多く獣医師に還元したいという思いから、菌種を問わない薬剤感受性試験をご提供しています。
こちらも合わせてお読みください
薬剤感受性試験の結果に基づいた抗真菌薬の選び方 3STEP