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MycoLaboの真菌検査サービスは、2022年5月に正式スタートして1年が経過しました。スタート間もないサービスを利用し、支えていただいた皆様には心から感謝申し上げます。

MycoLaboを始めた理由の一つとして、「獣医療にはもっと真菌症があるのではないか。どんな真菌症があるのか解き明かしたい」という思いがありました。

検査して終わりではなく、その結果を疫学データとして発表していくのも目標の一つでした。無事1年が経過し、最初の報告をさせていただくことができて本当にうれしいです。今後も続けられるよう努力してまいりますので、多くの先生方にご協力いただければ幸いです。

 

どうぶつの真菌症統計 2023

 

今回、2022.2~2023.7にご依頼いただいた102件の検査のうち、データ利用にご賛同いただいた計80頭分81件を集計しました。

 

動物種

 

 

鳥類が7割近くを占めており、鳥類に真菌症の発症が多いことがわかります。この理由として鳥は気嚢を持つためと一般的に言われていますが、哺乳類との免疫系の違いなど、興味深い理由がまだ隠れていそうです。

犬猫は大学などの二次診療施設からのご依頼が多く、犬猫の真菌症の診断の難しさがうかがわれます。

性別

 

 

性別は雄が7割近くを占めるという興味深い結果となりました。真菌によっては性差がある可能性が考えられているものもあり、今後もデータ数を増やして検討していく予定です。

 

標的器官

 

 

呼吸器と皮膚の症例が主な標的器官でした。どちらも真菌の侵入門戸となるためと考えられます。動物種ごとの標的器官は以下の通りです。

 

 

鳥類は呼吸器真菌症が多いという臨床上の実感を反映しています。犬と猫の真菌症は圧倒的に皮膚糸状菌症が多いですが、ほとんどは診療施設内で診断されているため、外注検査では呼吸器系が多いという結果になったと考えられます。げっ歯類は皮膚糸状菌症の好発動物であり、今回の結果もそれを裏付けるものとなりました。

 

真菌種

全ての動物から検出された真菌種は以下の通りでした。検査の依頼内容により同定レベルは様々なものが混在しています(同定はせず肉眼で糸状菌または酵母と判定、鏡検、生化学検査および遺伝子解析)。

 

アスペルギルス属が最も多く、全ての種のアスペルギルスを合計すると全体の27%を占めていました。培養陽性率は62%でした。

器官別では以下のようになりました。

 

呼吸器系ではやはりアスペルギルス属が占める割合が多く、その他の器官ではばらつきが見られました。動物種では以下のようになりました。

 

その動物種で初めての報告となったものは16例あり、現在ご依頼いただいた先生のもとで3例が論文執筆中です。前例のない真菌種が検出される場合はその病原性の判断に苦慮しますが、このようなデータを積み重ねていくことで、どうぶつの真菌症の実態が明らかになると考えています。

この1年は鳥類を診察する診療施設を中心に検査の告知を行ったためデータには偏りがあり、n数も少ないため疫学調査としてはまだまだスタートラインです。今後もデータを積み重ね、どうぶつの真菌症の実態に迫っていきたいと考えています。

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